Premiere Proで映像を書き出す時に、もう少しファイルサイズを軽くしたいって思うことありませんか?そんな時は無料プラグインの Voukoder を試してみるといいかもしれません。GPUを活かした高速エンコードのメリットばかりが注目されがちなプラグインですが、今回注目したいのはその書き出し品質です。画質を維持したままもう一段ビットレートを下げたい!なんてときにも心強い味方となってくれます。 何といっても無料なので、まだ使ったことがないという方には是非オススメしたいプラグインなんです。
ただ残念ながらwindows用のプラグインなのでMacの方はブートキャンプ環境などで使っていただければと思います。
そもそもどうして小さなデータが必要なのかという話ですが、例えば企業から依頼される社内向けの映像コンテンツなどは特に「画質」よりも「軽さ」が求められることが多いです。「配信システムの制限でビットレート500kbps以内で」など、理由は様々ですが「軽さ」に対するニーズは色々な場面で感じます。
そんなときVoukoderで書き出してみたらちょっときれいでいたというお話です。
Voukoderのダウンロードとインストール
Voukoderの公式サイトはこちら

トップページ上部のメニューからダウンロード画面に進み、次の2つをダウンロードします。
- Voukoderアプリケーション
- Voukoderコネクタプラグイン
コネクタプラグインはDaVinci ResolvやAfter Effectsなど様々なソフトに対応しているので自分が使っている編集ソフトに対応したものを選んでダウンロードします。コネクタプラグインは複数入れても問題ないようです。(ちなみに僕は Adobe Premiere CS6 + CC のコネクタをイントールしましたが、これひとつで Media Encoder も問題なく使用できました)
ダウンロードが終わったらそれぞれのファイルをインストールします。面倒な登録や設定は一切なく、Premiere Proを再起動するだけで書き出し設定の一覧にVoukoderの名前が自動的に追加されます。
マスターデータ(高品質データ)の書き出し
今回のように映像を極端に圧縮したい場合は、Premiere Proのシーケンスから直接書き出すのではなく、
シーケンス → ファイル(大) → ファイル(小)
のようにひと手間入れることをオススメします。何パターンか出力して比較することになるので、あらかじめマスターを作り、そこからエンコードした方が作業効率が高く、画質も向上します!
Premiere Proからマスターデータを書き出す際に設定すべきところは一か所だけです。[書き出し設定パネル]の右上にある[シーケンス設定を一致]にチェックを入れます。あとは書き出し場所を確認し右下にある[書き出し]を押せばOKです。

Media Encoderで変換
今回用意したのはAdobe stock の無料素材を適当に並べた1920×1080p(30秒)の動画で「シーケンス設定を一致」で書き出したmpegファイル。詳細はこんな感じです。
- MPEG-PS/114MB/30秒
- 映像ビットレート:31Mbps
- 音声ビットレート:384kbps
このマスターデータをMedia Encoderに読み込んでVoukoderを使った場合と使わない場合でどれくらい画質に差がでるか検証してみたいと思います。
Voukoderの設定
書き出し設定パネルを開き、[形式]から[Voukoder(CS6 compatible)]を選択します。

設定項目から Voukoder のタブを選択し[Configure…]をクリックするとVoukoder の設定画面が開きます。見慣れない設定項目が多いのでちょっとビビりますが、普段からエンコードの経験がある方なら何とか使えるレベルだと思います。
まずはEncoderタブから大まかなプリセットを選びます。今回はx264の「おすすめ」設定を選択しました。
[Codec] x264
[Presets] General purpose(Recommended)

続けて[Options]のタブを開いて詳細設定に進みます。
画面左のメニューから[Video]と[Audio]の設定を切り替えることができます。

- Preset/Very slow
- Strategy/Average Bitrate(ABR)
- Average Bitrate/400kbit
- Multipass/2pass
- Max Quantizer/69
- Audio Bitrate/64kbit
- 変換時間49秒
かなり厳しい設定にしています。ビットレート400kbps!HDサイズとしてはありえない数字ですが、はたしてどんな画質になっているでしょうか。ちなみに[H.264 NVIDIA NVENC]というGPUを使った設定も試してみましたが画質に関しては[x264]に惨敗でした。その代わりに書き出し時間はわずか4秒!常識的なビットレートで書き出すときにはNVENCもかなり使えそうです。
Voukoderを使わずに書き出したデータとの比較
比較のため、Media EncoderからVoukoderを使わずに以下の設定で書き出してみました。だいたい同程度のビットレートに仕上がるように設定してあります。
- VBR 2パス
- ターゲットビットレート:0.41Mbps
- 最大ビットレート:0.41Mbps
- 最大深度でレンダリング
- 変換時間:21s
ちなみにターゲットビットレートと最大ビットレートが同じならCBRで良いのでは?と思う方もいると思いますが、実際にはVBR2パスの方がはっきりと画質は上です。
下の動画はVoukoderを使った場合とそうでない場合の比較動画です。(音声はありません)
両者ともに相当ヤバいです。ただしMedia Encoder で変換したデータは終始カクカクした印象であるのに対して、Voukoder側はノイズはありながらもギリギリ視聴可能な品質になっていると思います。特に草原や雲の質感にはハッキリと差が出ています。一方で後半の女性のシーンのように動きの少ない場面では大きな違いは感じませんので、全てにおいてVoukoderの方がクオリティーが高い。とまでは言い切れないかもしれません。ここまで極端な圧縮をする機会は滅多にないと思いますが、例えば配信用映像を軽量化するような場面ではかなり役に立つプラグインではないでしょうか。まだ使ったことがないという方には是非一度ためして欲しいプラグインです。
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